LOUIS

Sakaeya
LOUIS
Steak Knife
2023

Steak knife “LOUIS” for Sakaeya in Shiga

1. must be sharp
2. safe and easy to use
3. elegant and smart

None of these are particularly new, but we wondered if we could create them naturally, as if guided. We cut off a portion of the blade of a perfectly made knife and added these three requirements to the blade as functions.

1. must be sharp
No matter how sharp the blade is, it will stop cutting if you keep using it. In addition to using a sharp steel material, it is important to make the blade easy to sharpen in order to maintain sharpness. The blade has a chin, which is not only sharp, but also easy to sharpen without hitting the whetstone.

2. safe and easy to use
For steak knives used at the table during meals, not in the kitchen, it is important for safety that the blade does not extend beyond the width of the handle so that the blade does not accidentally hit other items. The balance of the weight, the shape of the handle that is easy to grip and control, and the curve of the blade that is easy to cut are all contained within the width of the handle, and the notches form a boundary between the hand-held handle and the blade that cuts the meat, separating the worlds.

3. elegant and smart
When you use a knife, we want it to look beautiful in the way you use it, and when you temporarily place a knife on it, we want it to look beautiful in the way it is placed. When a knife rests on the edge of a cutlery stand or a plate, the notch does a very good job.

Client: Sakaeya Co.,
Manufacture: Seki Kanetsugu Cutlery Co.
Sakaeya online store

サカエヤのステーキナイフ ”泪”

京都のイタリアンレストランで偶然ご一緒したご縁から、滋賀の精肉店サカエヤの新保さんとステーキナイフを作る事になった。
新保さんが手当てするお肉の美味しさは味や香りは勿論だが、その魅力の一端は「噛み心地」だと思っている。
異なる肉の個性を見抜き、締まった繊維を緩ませたり、逆に引き締めたり、時には敢て手を加え過ぎず、様々な美味しい噛み心地を演出してくれる。
新保さんのお肉を扱う料理人の皆さんは、そのお肉をそれはそれは素晴らしい料理に昇華させて提供してくれる方ばかりだ。
しかし、お肉を頬張る数秒前に、我々食べ手に託された料理の最終仕上げ、それが「ナイフで切る」事である。
それぞれが自分の口に入れ易い大きさに切る事が第一目的なのだが、同時に、無意識に、食感をデザインしているとも言える。
繊維を断ち切るように、逆に繊維に沿って、厚く、薄く、はたまた斜めに切って、噛み心地の変化を作り出す、そんな最後のお愉しみを演出するナイフを作りたいと思った。

新保さんと掲げた条件は三つ。
1切れる事
2安全で使い易い事
3美しい事
一つ一つはどれもまあ、特に目新しい事ではないが、これをごく自然に、シンプルに、導かれるかのように生み出せないかと考え、施したのが、“欠く” という造形操作である。
至極真っ当に誂えたナイフのブレードの一部を切り欠き、そこに機能としてこの三つの要件を併せ持たせた。

1切れる事
どんなに切れる刃物でも使い続ければ切れなくなる。切れる鋼材である事は勿論、切れ味を維持するには研ぎ易さが大切である。
切り欠かれた刃にアゴが生まれ、砥石当たりの無い研ぎ易さを実現している。

2安全で使い易い事
食事中にテーブルで使うステーキナイフは、不意に刃が他に当たらぬよう、ブレードが柄の幅からはみ出さない事が安全の為に重要だと考えた。その幅の中に重さのバランス、握り易く操り易い柄の形状、切り易い刃の曲線を収め、その切り欠きが手で持つ柄と肉を切る刃の間で結界となって世界を隔てている。

3美しい事
使う時にはその所作が美しく、箸休め ( ナイフ休め? ) 時には置かれる佇まいが美しくあって欲しい。
カトラリーレストやお皿の縁にナイフが留る際、その切り欠きはとても良い仕事をしてくれる。

新保さんの手当てしたお肉が調理された最高の料理と共に、このステーキナイフが最後のお愉しみを演出する。しかし、あくまでも良き脇役として食べ手の元に届きますように。

クライアント: 株式会社サカエヤ
製造: 関兼次刃物株式会社
サカエヤ オンラインストア

Photo: Michinori Aoki

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